生存権
- 憲法25条1項は、生存権を保障する
憲法25条1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
判例: 朝日訴訟
- 生活保護法による医療扶助と生活補助を受けていたXが、兄から仕送りを受けることになったため、社会福祉事務所長は、生活扶助と補助を縮小する決定をした
- 憲法25条1項は、個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではなく、具体的権利を規定するのは生活保護法である
- 健康で文化的な最低限度の生活は抽象的概念であり、認定判断は厚生労働大臣の合目的的な裁量に委ねられるが、著しく低い基準を設定するなど憲法や生活保護法の趣旨・目的に反して、裁量権の限界を超えた場合又は濫用した場合には、違法な行為として司法審査の対象となる
判例: 堀木訴訟
- 憲法25条を踏まえて具体的にどのような措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられており、児童扶養手当法が併給禁止条項を設けることは裁量の逸脱または濫用とは言えない
判例
- Xが生活扶助を受けている間に、生活扶助基準の改定が発生し、それにより支給額の減額を受けたが、本件改定は違法であるとして争った
- 厚生労働大臣は裁量権を有しているが、本件改定では、裁量権の範囲の逸脱またはその乱用があったといえる
教育を受ける権利
教育内容の決定権
- 憲法26条1項は、教育を受ける権利を保障する
憲法26条1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
旭川学力テスト事件
- 文部科学省規格の全国中学一斉学力テストを実施しようとしたところ、実施を妨害した教師Xが起訴された
- 普通教育においても教師の一定程度の教授の自由は認められるが、完全な自由は認められない
- 子供は、学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利(学習権)を有するとの観念が存在しており、国は、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有する
義務教育
- 憲法26条2項は、義務教育に関する定めを置く
- 義務教育の無償を規定しているが、これは授業料不徴収の意味であり、その他の費用については言及しない
憲法26条2項 全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務をおふ。義務教育は、これを無償とする。
労働基本権
- 憲法28条は団結権、団体交渉権、団体行動権、いわゆる労働三権を保障する
- 団結権: 労働者の団体(労働組合)を組織する権利
- 団体交渉権: 労働組合が労働条件について使用者と交渉する権利
- 団体行動権: 使用者に労働者の要求を認めさせるため、団結して就労を放棄すること(争議行為)などを認める権利
憲法28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
判例: 三井美唄炭鉱労組事件
- 市議会議員選挙において、労働組合が候補者Yを立てて支持することを決定したが、当該組合の組合員Xが同選挙に立候補し、説得・勧告に応じず立候補を取り止めなかったため、組合の統制違反者としてXを処分した
- 労働組合は労働者の地位を向上させることを目的とするものであるが、現実の政治・経済・社会気候のもとにおいて、使用者と単に交渉しても十分に目的を達成できないため、労働組合が目的達成に必要な政治活動や社会活動を行うことを妨げられるものではない
- 労働組合が、地方議会議員の選挙に利益代表を送り込むための選挙活動をすること、意に反した組合員の立候補をやめるよう説得・勧告することなどは許されるが、従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分することは許されない
判例: 国労広島地本事件
- 労働組合が政治的活動の活動費として徴収を強制することは許されないが、闘争活動の負傷者に対する救援のための救援費として徴収することは許される
判例: 全農林警職法事件
- 労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、労働基本権は勤労者の地位向上のための手段として認められたものでありそれ自体が目的とされる絶対的なものではないから、国民全体の共同利益の見地からの制約を受ける
- 公務員の場合は、公務員の地位の特殊性と職務の公共性を理由に、必要やむを得ない限度の制限を加えることには、十分合理的な理由がある
Ref
2026/02/01
- TAC 行政書士の教科書 第1編 Ch.2 Section.8