幸福追求権

  • 憲法13条は幸福追求権を保障する
    • 肖像権関係
      • みだりに容貌・姿態を撮影されない自由
    • プライバシー関係
      • みだりに前科などを公表されない利益
      • みだりに指紋押捺を強制されない自由
      • 氏名や連絡先などの個人情報
    • 身体関係
      • 自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由
  • 個人の人格的生存に不可欠と考えられるものは憲法13条の解釈によって保障される
    • 人格的生存とは、人間が人間らしく生活すること

憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に関する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、李方その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

判例: 性別変更違憲事件

  • 性同一性障害者の特例に関する法律が、正統一性障害者の性別変更について生殖能力をなくす必要があることを要件としていることは、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約しており、憲法13条に違反する

判例: 旧優生保護法訴訟

  • 休優生保護法の規定により特定の障害あるものなどに対して不妊手術を強制することは、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約するものであり、憲法13条に違反する

肖像権

  • 憲法上肖像権の明文規定はないが、13条の解釈として認められる

判例: 京都府学連事件

  • Xが京都府学連主催のデモ行進に参加した際、行進方法が許可条件に反すると判断した警察官が、状況等の確認のためXを無断で写真撮影した
  • 何人も、承諾なしにみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有するが、公共の福祉のため相当の制限を受けるため以下条件を全て満たす場合においては、警察官の写真撮影行為は許容される
    • 現に犯罪が行われまたは行われたのち間がないと認められること
    • 証拠保全の必要性・緊急性があること
    • 一般的に供される限度を超えない相当な方法を持って撮影が行われること

判例: 自動速度監視装置事件

  • スピード違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置による写真撮影は、同乗者の容貌も撮影することになるが、憲法13条に違反しない

プライバシー

  • 憲法上プライバシーの明文規定はないが、13条の解釈として認められる

判例: ノンフィクション逆転事件

  • Xが傷害罪の実刑判決を受けた後、就職・結婚をして平穏に暮らしていたところ、Xを題材にしてYがノンフィクション小説を執筆したため、Xの前科に関わる事実を公表されることとなり、XがYをプライバシー侵害を理由に損害賠償を請求した
  • 前科の事実は、その者の名誉・信用に関わる事項であり、そのものは、みだりに前科等に関わる事実を公表されないことについて、法的保護に値する利益を有する
  • 公表した著作者は、公表の理由より公表しない法益の方が勝る場合には、その者が受けた精神的苦痛を賠償しなければならない

判例: 江沢民講演会事件

  • 私立大学が大学主催の講演会の参加者名簿を参加申込者本人に無断で警察に提供した行為が、プライバシーの侵害にあたるとして争われた
  • 学生の個人情報は秘匿されるべき必要性が必ずしも高いものではないが、みだりに開示されたくないと考えることは自然であり、この期待は保護されるべきものであるから、本件個人情報は、参加申込者のプライバシーに関わる情報として法的保護の対象である
  • 大学が参加申込者の個人情報を無断で警察に開示した行為は、プライバシーを侵害するものとして不法行為を構成する

判例: 指紋押捺拒否訴訟

  • 外国人Xが、外国人登録原票などに指紋の押捺をしなかったため、外国人登録法違反で起訴された
  • 憲法13条に規定される個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押捺を強制されない自由を有するものというべきであり、この自由の保障は日本に在留する外国人にも等しく及ぶ
  • ただし、この自由も公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けるため、外国人登録法には十分な合理性があり、かつ、必要性も肯定でき、方法も一般的に許容される限度を超えない範囲であったことから、本件は憲法13条に違反しない

判例: マイナンバー利用差し止め等請求事件

  • 行政機関などが番号利用法に基づき特定個人の情報・提供等をする行為は、個人情報をみだりに第三者に開示または公表するものということはできず、憲法13条に違反しない

判例

  • 電話傍受は、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、重大な犯罪に関わる被疑事件について以下の要件を満たす場合は、侵害される利益の内容、程度を慎重に考慮した上でやむを得ないと認められるときのみ法律の定める手続きに従ってこれを行うことも許される
    • 被疑者を疑う十分な理由がある
    • 被疑事実に関連する通話が行われる蓋然性がある
    • 電話傍受以外の方法で必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する

Ref

2026/01/25

  • TAC 行政書士の教科書 第1編 Ch.2 Section.3