外国人の人権
- 憲法の人権保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除いて、日本に在留する外国人に対しても等しく及ぶ
- 保障があるものの例
- 出国の自由
- みだりに指紋の押捺を強制されない自由
- 政治活動の自由(認めることが相当でないものを除く)
- 保証がないものの例
- 入国の自由
- 再入国の自由(日本にいる外国人が一時的に出国して帰国すること)
- 選挙権
- 保障があるものの例
判例: マクリーン事件
- 1年の在留期間中に政治活動を行っていた外国人Xが、在留期間延長を求めて法務大臣に更新申請を行ったところ、更新が拒否され、争った
- 政治活動の自由は保障されるが、入国の自由や在留の継続を要求する権利は保証されないため、拒否は妥当である
法人の人権
- 憲法の人権保障は、権利の性質上可能な限り、法人にも適用されるものと考えられる
- ただし、税理士会は例外判例がある
判例: 南九州税理士会政治献金事件
- 強制加入団体である南九州税理士会が、税理士法改正運動に関して政治献金をするために、全会員から特別会費を徴収する決議を行ったが、会員らが本件決議は無効であるとして争った
- 強制加入団体である税理士会が政治献金することは、目的の範囲外の行為であり、決議は無効である
公務員の人権
- 公務員は、政治的行為をすることが禁止される
- 特に裁判官は強く禁止される
判例: 堀越事件
- ある国家公務員が共産党を支持する目的で、共産党の機関紙を投函して配布していたことが、公務員の政治活動を禁止した国家公務員法及び人事院規則に違反するとして起訴された
- 公務員の政治的行為の禁止は、政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる政治的行為に限られ、制限は必要やむを得ない限度にとどまっているため、本規定は表現の自由に違反しない
- ただし本件については、投函・配布などの行為は職務と全く無関係に行われていたことから、国家公務員法に違反しない
判例: 寺西裁判官事件
- 裁判官Xが、ある法案に反対する集会に参加し、法案に反対する旨の発言をしたことを受け、裁判所がXを非公開裁判で懲戒処分を行ったことについて、Xが抗告した
- 禁止の目的と禁止との間に合理的関連性があり、禁止により得られる利益と失われる利益との均衡を失するものではないなら、裁判官の積極的政治運動の禁止は表現の自由に違反しない
- 憲法82条1項は裁判の公開を求めるが、ここでいう裁判は純然たる訴訟事件を指しており、懲戒などの行政処分を含まないため、裁判官に対する懲戒処分は82条1項が適用されない
在監者の人権
- 在監者にも人権保障は及ぶが、居住が刑事施設内に限定される
判例: よど号ハイジャック新聞記事抹消事件
- 未決勾留者が購読していた新聞を、拘置所において、特定の記事を塗りつぶして配布したことに対し、収監者が閲読の自由を侵害するとして争った
- 未決勾留者: 犯罪容疑で逮捕され、判決が確定するまでの間に刑事施設に勾留されている者
- 閲読の自由は、放置できない障害が生ずる相当の蓋然性があると認められた場合に限り、逃亡・罪証隠滅の防止のため、または、施設内の秩序維持のために、障害発生防止に必要かつ合理的な範囲の制限は許容される
Ref
2026/01/24
- TAC 行政書士の教科書 第1編 Ch.2 Section.1