法律上の争訟

法律上の争訟

  • 法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務や法律関係に関する争いであって、法令を適用することで終局的な解決ができるものを言う

司法審査の可否

  • 裁判所は、以下のいずれかの場合には、審査することができない
    • 法律上の争訟でない場合
      • 信仰の対象の価値や宗教上の教義など
    • 司法権の限界にあたる場合

司法権の限界

  • 法律上の争訟に当たっていても高度に政治性のある国家行為の場合は、審査されないことがある
    • 自律権
      • 国会で適法な手続きで交付された法律について、裁判所は制定の議事手続に関する事実を審理して有効無効を判断するべきでない
    • 統治行為
      • 衆議院の解散のような直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為については、法律的判断が可能であっても、司法審査の対象から除外される
    • 部分社会の法理
      • 大学などの部分社会において一般市民法秩序と関係しない内部的問題は、司法審査の対象から除外される
        • 例) 大学における単位の不認定は審査されないが、卒業の不認定は審査される
    • 裁量
      • 行政や立法の裁量に任されている行為は、裁量権の逸脱または濫用の場合を除いて、司法審査の対象とはならない

判例: 市議会議員出席停止事件

  • 市議会が議員に対する懲罰として出席停止を命じたが、出席停止処分が司法審査の対象となるかが争われた
  • 議員が出席停止を受けると、議員としての中核的活動ができなくなり、住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなる
  • 出席停止の懲罰は、議会に一定の裁量が認められるべきだが、裁判所は常にその適否を判断することができ、議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は司法審査の対象となる

裁判所の組織

裁判所

  • 裁判所は、最高裁判所と下級裁判所で組織される (憲法76条1項)
    • 最高裁判所: 司法権を担当する国家の最高機関。終審裁判所にあたる
    • 下級裁判所: 高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所の総称
  • 司法裁判所の系列から外れた独立の裁判機関の設置は禁止されている (憲法76条2項前段)
  • 行政機関は前審として裁判を行うことができるが、終審はできない (憲法76条2項後段)
  • 全て裁判官はその両親に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束される (憲法76条3項)

判例

  • 憲法が国民の司法参加を許容し、裁判員制度のもとで裁判官が時に自らの意見と異なる結論に従わざるを得ない場合があるとしても、それは憲法に適合する法律に拘束される結果であるから、憲法76条3項に違反しない

司法権の独立

司法権の独立と国政調査権

  • 裁判を公正・公平に行うため、裁判所や裁判官は、立法権や行政権から独立している必要がある
    • 議員の国政調査権によって、裁判内容について批判のために調査することは司法権の独立を侵害するが、事実について議員が裁判所と異なる目的で裁判所と並行して調査することは司法権の独立を侵害しない

裁判官の身分保証

  • 報酬は在任中減額されることはない
  • 定年は最高裁と簡裁は70歳、それ以外は65歳
  • 以下の場合に罷免される
    • 心身の故障
    • 公の弾劾
最高裁判所
  • 長官は内閣の指名に基づき天皇が任命し、そのほかの判事は内閣が任命する
  • 任期はない
  • 国民審査によっても罷免されうる
下級裁判所
  • 最高裁判所の指名した者を内閣が任命
  • 任期は10年

国民審査

  • 衆議院議員選挙の際に、最高裁判所の裁判官を罷免するかどうか、審査する制度
  • 任命から10年経った後の次の衆議院議員選挙において、国民審査が行われる (憲法79条2項)
  • 投票者の多数が罷免を可とするときは、その裁判官は罷免される (憲法79条3項)
判例
  • 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に国民審査の審査権の行使を認めていなかったことは、憲法に違反する

規制制定権

  • 最高裁判所は、訴訟手続き、弁護士、裁判所の内部規律司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する (憲法77条1項)

裁判の公開

  • 裁判の対審及び判決は、公開法廷で行われる (憲法82条1項)
判例
  • 証人尋問が公判期日において行われる場合、傍聴人と商人との間で遮蔽措置が取られたり、ビデオリンク方式を採用したりしても、審理が公開されていることに変わりはないから、憲法82条1項に違反しない

違憲審査

違憲審査の正確

  • 裁判所は違憲審査権を持つ
  • 違憲審査には2種類あり、日本は判例上、付随的違憲審査制を採用している
    • 付随的違憲審査制: 裁判所は、違憲審査権を、裁判権と同時にしか行使できない
      • 具体的な総称を裁判する際に、その前提として、事件解決に必要な限度で法令の意見審査を行う方式
      • 日本、アメリカが採用
    • 抽象的違憲審査制: 裁判所は、違憲審査権を、単体で行使できる
      • 特別に設けられた憲法裁判所が具体的な争訟とは無関係に違憲審査を行う方式
      • ドイツが採用

憲法81条: 最高裁判所は、一才の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

合憲限定解釈

  • 法律の解釈が複数存在し、その解釈次第では違憲となる場合には、当該法律を合憲となるように解釈する方法のことを言う

違憲判例


Ref

2026/02/09

  • TAC 行政書士の教科書 第1編 Ch.3 Section.3