相続

相続人

  • 相続人は、被相続人の配偶者と一定の血族に限られる
    • 子がいる場合、配偶者1/2、子1/2
    • 子がいない場合、配偶者2/3、直系尊属1/3
    • 子も直系尊属もいない場合、配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
  • 子には、実子、養子、胎児が含まれる
    • 嫡出子かどうか、養子かどうかで法定相続分は変わらない

欠格・廃除

  • 欠格は、遺言書を偽造・隠匿した者の相続権を当然に失わせる制度である (民法891条)
    • 偽造・隠匿などの行為を行うことで当然に効力が発生する
    • 資格回復制度はない
  • 廃除は、推定相続人が被相続人に虐待や侮辱を加えた際に、被相続人の請求によりその者の相続権を失わせる制度である (民法892条)
    • 被相続人により請求された場合に効力が発生する
    • 廃除された相続人は、廃除の取り消しを請求できる

相続の承認・放棄

  • 単純承認: 被相続人すべての権利義務を承継する (民法920条)
  • 限定承認: 被相続人の債務などを相続財産の限度でのみ王留保をつけて、被相続人の権利義務を承継する (民法922条)
  • 相続放棄: 被相続人の権利義務は一切承継しない (民法939条)

代襲相続

  • 相続開始の前に相続人が、死亡・欠格・廃除により相続権を喪失していた場合に、その相続人の直系卑属が代わりに相続する制度を、代襲相続と呼ぶ (民法887条2項, 民法889条2項)

同時死亡の推定

  • 死亡の先後が不明な場合、同時に死亡したと推定される (民法32条の2)
  • 被相続人と相続人が同時死亡した場合、相続は発生しないが、代襲相続は発生しうる

遺産分割

  • 共同相続人全員の合意があれば、遺産分割協議により、法定相続や遺言と異なる遺産の分割が可能 (民法907条1項)
    • 遺産分割協議で決めた債務を履行しない者がいても、他の相続人は債務不履行を理由とした遺産分割協議解除はできない
    • 共同相続人全員の合意により、遺産分割協議を解除して、やり直すことはできる
  • 遺産分割協議が整わないときは、各協同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求できる (民法907条2項)

遺留分

  • 法定相続人の相続分のうち法律上最低限留保されている部分のことを遺留分と呼ぶ
    • 遺留分は、配偶者、子、直系尊属にのみ認められる
  • 遺留分は、財産の価額を基準に、以下のように決められる (民法1042条1項)
    • 直系尊属のみが相続人である場合、財産の価額の1/3が遺留分となる
    • それ以外の場合、財産の価額の1/2が遺留分となる

遺留分の侵害

  • 遺留分は当然に残されるものではなく、遺留分侵害額を計算し、遺留分権利者が受遺者受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することで解決する (民法1046条1項)
    • 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が相続開始および遺留分侵害があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する (民法1048条)
      • 相続開始の時から10年を経過したときも同様に時効によって消滅する

遺言

遺言方式

  • 自筆証書遺言: 遺言者が遺言全文、日付、氏名を自書して押印する。証人不要 (民法968条)
  • 公正証書遺言: 遺言者が遺言主旨を公証人に口授する (民法969条)
  • 秘密証書遺言: 遺言書に署名押印して封印し、公証人が日付などを記入する (民法970条)

遺言の効力発生

  • 遺言は、遺言者が死亡したときから効力を生じる (民法985条1項)
  • 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺言放棄できる (民法986条1項)
    • 遺贈の放棄は遺言者の死亡直後に遡ってその効力を生じる (民法986条2項)
  • 遺言者の死亡より前に受遺者が死亡した場合、遺言はその効力を生じない (民法994条1項)

遺言の執行

  • 遺言書の保管者が相続開始を知った時または遺言書の補完者がいない場合で相続人が遺言書を発見したとき、その者は遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して検認を請求する必要がある (民法1004条1項)
  • 遺言書は、遺言で、一人または数人の遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託できる (民法1006条1項)
  • 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務を有する (民法1012条1項)

遺言の撤回

  • 遺言は、いつでも新たな遺言で撤回できる (民法1022条)
    • 新旧の遺言で矛盾する場合は、新しい遺言で古い遺言を撤回したものとみなされる (民法1023条1項)
  • 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄できない (民法1026条)

未成年者・成年被後見人の遺言

  • 15歳以上の者は、単独で遺言できる (民法961条)
  • 成年被後見人は、事理弁識能力を一時回復している状態であれば、医師2人以上の立ち会いのもと遺言できる (民法973条1項)

共同遺言の禁止

  • 遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることはできない (民法975条)

配偶者居住権

配偶者居住権

  • 遺言の中で配偶者居住権が認められた被相続人の配偶者は、被相続人が所有する建物に相続開始の時に居住していた場合、居住建物の全部について無償で使用収益する権利を取得する (民法1028条1項)
  • 相続で配偶者居住権付き建物を取得した者は、配偶者の当該権利を配偶者と共に登記する義務を負う (民法1031条1項)

配偶者居住権に基づく使用収益

  • 配偶者は、善管注意義務を持って使用収益する必要がある (民法1032条1項)
    • 善管注意義務が守れていない場合、所有者は、催告をした上で配偶者居住権を消滅させられる (民法1032条4項)
  • 配偶者居住権は譲渡できない (民法1032条2項)
  • 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、改築・増築、第三者への転貸借はできない (民法1032条3項)
  • 配偶者は、使用収益に必要な修繕ができる (民法1033条1項)
  • 配偶者は、建物の通常の必要費を負担する (民法1034条1項・2項)

配偶者短期居住権

  • 配偶者が被相続人の建物に相続開始の時に無償で居住している場合、相続開始または建物の帰属が確定した日から6ヶ月を経過するまでのいずれか遅い日までの間、配偶者は居住建物を無償で使用収益する権利を有する (民法1037条1項)

Ref

2026/04/05

  • TAC 行政書士の教科書 第2編 Ch.4 Section.2