事務管理

  • 以下の要件を満たした場合に、事務管理の管理者に相当する
    • 他人の事務を管理すること
    • 他人のためにする意思があること
    • 法律上の義務がないこと
    • 本人の意思や利益に適合すること
  • 事務管理の管理者の場合、委任契約の受任者とほとんど同じだが、以下の点が異なる
    • 報酬請求権がない
    • 費用前払請求権がない
    • 損害賠償請求権がない
    • 緊急事務管理の時のみ、善管注意義務がない

不当利得

  • 以下の要件を満たし、法律上の原因なく他人の財産または労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益を返還する義務を負う (民法703条, 民法704条)
    • 受益者が、他人の財産・労務により利益を受けたこと
    • 他人に損失があること
    • 受益と損失の間に因果関係があること
    • 法律上の原因がないこと
  • 不当利得の要件を満たせば、返還請求権が発生する
    • 善意の受益者は、利益の返還のみ
    • 悪意の受益者は、受けた利益に利息を加えて返還

不当利得の特則

  • 債務の存在しないことを知って給付した場合、その給付したものの返還を請求できない (民法705条)
    • 支払う必要がないことを知っていて支払ったなら、返還を請求できない
  • 債務者が弁済期にない債務の弁済を行なったときは、その弁済は有効であり、返還を請求できない (民法706条)
    • ただし、錯誤で給付してしまった場合は、債権者に返還を請求できる
    • 支払期日到来前でも、いずれ支払うのだから、返還を請求できない
  • 債務者でないものが錯誤によって弁済をした場合でも、債権者が善意で証書を滅失・損傷し、担保を放棄し、または時効でその債権を失った時は、その弁済は有効であり返還を請求できない (民法707条1項)
    • 債権者を保護するため
    • 本来の債務者に求償は可能
  • 不法な原因のために給付をしたものは、その給付したものの返還を請求できない (民法708条)
    • 受益者の方が著しく不法な場合は、不当利得返還請求ができることも
    • クリーンハンズ

転用物訴権

  • 契約上の給付が契約の当事者ではない第三者の利益となる場合、給付の対価を得られなかった時に、第三者に対して利益の返還を請求する権利を転用物訴権と呼ぶ
  • 賃借人と修繕者との間で修繕を行う契約を結んだが賃借人が無資力であった場合、賃借人が修繕による利得を一切得ていないときに限り、修繕者は賃貸人に不当利得返還請求ができる
    • 賃貸借契約において、修繕義務を賃借人が負う代わりに、賃料を減額するなどの特約が存在した場合、賃借人は修繕による利得を得ているとみなせるため、修繕者は不当利得返還請求ができない

不法行為

  • 故意または過失により他人の権利または法律上保護された利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う (民法709条)

不法行為の成立

成立要件

  • 被害者に損害が発生していること
  • 被害者が加害行為をしたこと
  • 損害と加害行為に相当因果関係があること
  • 加害者に故意または過失があること
    • 失火責任法により、失火の場合は重大な過失でない限り、例外的に責任は負わなくて良い
  • 加害行為が違法なものであること
  • 加害者に責任能力があること
    • 11〜12歳で責任能力ありとされる

違法性阻却

  • 正当防衛または緊急避難が成立した場合、その者は不法行為に基づく損害賠償責任を負わない
    • 自己または第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした場合には、正当防衛が成立する (民法720条1項)
    • 他人のものから生じた急迫の危難を避けるためにその物を損傷した場合には、緊急避難が成立する (民法720条2項)

損害の賠償

  • 不法行為が成立すると、損害賠償請求権が発生する (民法709条)
    • 加害者の債務は、損害発生と同時に履行遅滞に陥る
    • 加害者の債務は、次の場合に時効によって消滅する
      • 被疑者またはその法定代理人が損害と加害者を知った時から3年間行使しない時
        • 生命・身体に関わる不法行為の場合は5年
      • 不法行為の時から20年行使しないとき

過失相殺

  • 過失相殺とは、不法行為の被害者にも過失があった場合に、相殺して賠償額を減額すること (民法722条2項)
    • 身分上・生活関係上一体をなすとみられる関係にある者の過失も過失相殺の対象となる
    • 過失相殺の対象は金額のみ
    • 過失相殺を行うかどうかは裁判所の任意の判断による
  • 以下の場合、過失相殺は適用されない
    • 被害者に事理弁識能力がない
    • 被害者の身体的特徴が原因となった (首が長いなど)

損益相殺

  • 不法行為を原因に被害者が利益を受けた場合、賠償額からその利益を控除する制度を損益相殺と呼ぶ
    • 生命保険金は損益相殺の対象とならない

近親者固有の慰謝料請求

  • 他人の生命を侵害したものは、被害者の父母、配偶者、子に対しても、その損害を賠償しなければならない (民法711条)
    • 生命侵害と同じくらいの苦痛を伴う傷害も対象となる
    • 被害者の父母・配偶者・子以外でも、兄弟姉妹のようにそれに準ずる者は請求できる

監督者責任

  • 直接の加害者が責任無能力者であるため責任を負わない場合、その無能力者の監督義務者が、その損害を賠償する責任を負う (民法714条1項)
    • ただし、監督義務者がその義務を怠っていないとき、または、怠らなくても損害が生ずべきであったときは免責される

使用者責任

  • 人を雇う使用者は、被用者が事業の執行について他人に加えた損害を賠償する責任を負う (民法715条1項)
    • ただし、使用者が被用者の選任・監督について相当の注意をした時、または、相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責される
    • 使用者が損害賠償債務を履行した場合、使用者は、審議上相当と認められる範囲で被用者に求償できる (被用者側からも求償可能)

土地工作物責任

  • 土地工作物の設置又は保存に瑕疵があったことにより、他人に損害を生じさせた場合、その工作物の占有者や所有者が被害者に対して損害賠償する責任を負う (民法717条1項)
    • 竹木の植栽または支持に瑕疵がある場合も同様 (民法717条2項)
  • 占有者→所有者の順番で責任を負う
    • ただし、占有者が十分に注意をしていた場合は、占有者は免責される
    • 所有者は無過失責任

動物占有者の責任

  • 動物の飼い主は、その動物が他人に怪我をさせたときはその損害を賠償する責任を負う (民法718条1項)
    • 占有者に代わって動物を管理する者も同様 (民法718条2項)
  • 占有者の責任は無過失責任ではなく、相当の注意をしていた場合は、免責される (民法71条1項但書)

共同不法行為

  • 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う (民法719条1項)
    • 被害者は任意の加害者から全額の賠償を受けられる
    • 加害者の一人が弁済した場合、他の加害者に対して求償できる

Ref

2026/03/26

  • TAC 行政書士の教科書 第2編 Ch.3 Section.8