不可分債権・債務
- 不可分債権とは、債権の目的が不可分で、かつ、数人の債権者があるときに成立する債権 (民法428条)
- 3人が1人から自動車を買う契約をした場合など
- 不可分債務とは、債権の目的が不可分で、かつ、数人の債務者があるときに成立する債務 (民法430条)
- 3人が共有する1台の自動車を1人に売却した場合など
連帯債務
- 複数の債務者が連帯して債務を弁済する関係に置かれることを、連帯債務と呼ぶ
連帯債務関係
- すべての連帯人は全額支払う義務を持ち、債権者はどの連帯に全額請求しても良い
- 連帯人は、負担部分以上に支払った額を他の連帯人に求償できる
絶対効と相対効
- 絶対効: 1人の連帯人に生じた事由が他の連帯債務者にも影響する効果
- 弁済・更改・相殺・混同だけは、絶対効である (民法438~440条)
- 相対効: 1人の連帯人に生じた事由が他の連帯債務者に影響しない効果
- 絶対効以外はすべて相対効 (民法441条 相対効の原則)
他の連帯債務者の有する債権
- 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を持ち、当該連帯者が相殺を援用しない場合、当該連帯者の負担限度において、他の連帯債務者は、債務の履行を拒める (民法439条2項)
求償
- 連帯債務者の一人が弁済した場合、当該債務者は他の連帯債務者に対して、各自の負担部分に応じた額を求償できる (民法442条1項)
- 弁済する際は、事前・事後に法華の連帯債務者へ通知する必要がある (民法443条)
- 他連帯債務者の存在を知りながら、通知しないと、求償制限がかかる
- 通知では、共同の免責を得ることを伝える必要がある
求償制限
- 弁済者が他連帯債務者へ事前の通知なく弁済した場合、他連帯債務者は、債権者に対抗できる事由を持っていたとき、その事由を以て求償を求める弁済者に対抗できる (民法443条1項)
- 弁済者が事後の通知をせず、他連帯債務者が二重弁済してしまった場合、後から弁済した方が自己の弁済を有効なものとして、最初の弁済者を含む他連帯債務者へ求償できる (民法443条2項)
- ただし、二重弁済した者が事前の通知を怠っていた場合は、二重弁済を有効な弁済として主張することはできない
無資力者
- 連帯債務者の中に無資力者がいた場合、求償額は、無資力者をいないものとして計算する (民法444条1項)
連帯債権
- 連帯債権者の1人が弁済を受けた場合、他の連帯債権者は自己の債権額を限度としてその者に分与を請求できる
保証人
- 保証とは、債務者が弁済できないときに備えて、債務者の代わりに弁済する保証人を立てることである
保証人
- 保証人は普通の連帯債務者とは異なり、以下の権利がある
- 催告の抗弁: 保証人は、債権者から履行請求を受けても、「主たる債務者に催告して」と断ることができる (民法452条)
- 検索の抗弁: 保証人は、債権者から執行を受けても、自己に弁済する資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することで、「主たる債務者を最初に執行すべき」と断ることができる (民法453条)
- 分別の利益: 保証人が複数いる場合は、債権者から全額請求されても、保証人の人数で頭割りした額しか払わないとして、断ることができる (民法456条, 民法457条)
連帯保証人
- 連帯保証人には、債務者の権利は認められていない
主たる債務者に生じた事由の効力
- 主たる債務者に時効の完成猶予や更新は、連帯保証人に対しても効力が生じる (民法457条1項)
連帯保証人に生じた事由の効力
- 弁済・更改・混同・相殺は、主たる債務者に影響する
- 請求は、主たる債務者に影響しない
抗弁の対抗
- 連帯保証人は、主たる債務者が債権者に対抗できる事由を持っているとき、その事由を以て債務の履行を拒むことができる (民法457条2項)
- 主たる債務者は、連帯保証人が債権者に対抗できる事由を持っていても、その事由を以て債務の履行を拒めない
求償
委託を受けた保証人の場合
- 主たる債務者からの委託を受けて保証人となった場合、保証人が弁済した時は、弁済に要した額を求償できる (民法459条1項)
- 求償額には、法定利息や避けられなかった費用、その他損害賠償を含められる (民法459条2項, 民法442条2項)
委託を受けない保証人の場合
- 主たる債務者の意思には反さないが、委託を受けていない保証人が弁済した場合、主債務者に対して、弁済時点の主債務者にとっての利益を求償できる (民法462条1項)
- 例) 保証人が100万円弁済した→100万円求償できる
- 主たる債務者の意思に反して、委託を受けていない保証人が弁済した場合、主債務者に対して、現時点での種債務者にとっての利益を求償できる (民法462条2項)
- 例) 保証人が100万円弁済したが、その後に主債務者が100万円二重弁済した→求償できない
共同保証人間の求償
- 各保証人が全額を弁済すべき特約があって、一人の保証人が全額または自己の負担部分を超えて弁済したとき、他の保証人に求償できる (民法465条1項, 民法442条)
- 保証人と債務者との関係では、保証人の負担部分はない
- 保証人同士の関係では、各保証人に負担部分がある
事前・事後の通知を怠った場合
- 保証人が主債務者の委託を受けて補償をした場合、主債務者に事前通知せず弁済したときは、主債務者は債権者に対抗できた事由を持って、保証人に対抗できる (民法463条1項)
- 主債務者が弁済をして事後通知を怠った場合、保証人が善意で二重弁済したときは、保証人は自分の弁済が有効であったとみなすことができる (民法463条2項)
個人根保証
- 一定範囲に属する債務を主たる債務とする保証契約であり、保証人が個人の場合は、個人根保証契約と呼ぶ
- 保証人は、元本、利息、違約金などについて、極度額を限度として、履行責任を負う (民法465条の2第1項)
- 個人根保証は、極度額の定めがない限り、その効力を生じない (民法465条の2第2項)
Ref
2026/03/17
- TAC 行政書士の教科書 第2編 Ch.3 Section.5