所有権の取得
- 所有権の取得方法には、2種類ある
- 原始取得: 時効、即時取得
- 承継取得: 売買や相続など
- 所有権は、その物を使用収益することや処分することの根拠となる (民法206条)
- 民法では、付合や加工における所有権の帰属規則を定めている
- ただし、当事者間の特約がある場合は特約が優先される
付合
- 異なる所有者に属する2個以上の物が結合して1個の物になること
不動産と動産の場合
- 不動産に動産が従として付合した場合、その合成物は不動産の所有者の物となる (民法242条)
動産と動産の場合
- 動産Aと動産Bが合成された場合
- Aが主たる動産ならば、合成物の所有権は動産Aの所有者に帰属する (民法243条)
- AとBに主従の区別がないならば、合成物はABそれぞれの所有者の共有となる
- 持分は付合当時の価格割合に依る (民法244条)
加工
- 加工とは、他人のものに工作を加えて新しいものを作ること
- 加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する (民法246条1項本文)
- ただし、加工によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する (民法246条1項但し書き)
無主物先占
- 所有者のない動産は、所有の意思を持って占有した者が所有者となる
- 不動産に対しては無主物先占は認められておらず、所有者のない不動産は国庫に帰属する (民法239条2項)
遺失物拾得
- 遺失物法の定めるところに従い、公告をした3ヶ月以内にその所有者が判明しないとき、拾得者が所有権を取得する (民法240条)
相隣関係
袋地の場合 (囲繞地通行権)
- 袋地の所有者は、公道に出るためにその土地を囲んでいる他の土地を通行することができる
- 袋地が譲渡された場合、譲渡された者は登記がなくとも、袋地の周りの土地を通行できる
- 公道と袋地の間の土地が譲渡された場合、袋地の所有者は間の土地を引き続き通行できる
- 分割によって袋地の所有者となった場合、その袋地の所有者は他の分割者の所有地のみを通行できる (民法213条1項)
境界線
- 建物を築造する場合、土地の境界線から50cm上の距離を保つ必要がある (民法234条1項)
- 立木がはみ出た場合
- 枝がはみ出た場合、はみ出された側の所有者は、はみ出した側に、枝を切るよう請求できる (民法233条4項)
- 以下の条件に当てはまるときは、はみ出された側が勝手に切っても良い
- 切除を催告したが相当の期間内に履行されない時
- 所有者を知ることができず又はその所在を知ることができない時
- 急迫の事情がある時
- 以下の条件に当てはまるときは、はみ出された側が勝手に切っても良い
- 根がはみ出た場合、はみ出された側の所有者は、勝手に切って良い (民法233条4項)
- 枝がはみ出た場合、はみ出された側の所有者は、はみ出した側に、枝を切るよう請求できる (民法233条4項)
- 建物を修繕する場合、必要な範囲で境界をはみ出して他人の土地を使用できる (民法209条1項本文1号)
- 境界線から1m未満の場所に他人の土地を見通せる窓を設置した場合、目隠しをつける必要がある (民法235条1項)
- 境界線上の境界標は、両側の土地の所有者の共有と推定される (民法229条)
共有関係
共有物に対する共有者の権利行使
- 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる (民法249条1項)
- 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない (民法249条3項)
- 共有物の保存行為は、各共有者が単独で行うことができる (民法252条5項)
- 妨害排除、保存登記など
- 共有物の管理行為は、持分価格の過半数の賛成が必要である (民法252条1項)
- 賃貸など
- 共有物の変更行為は、共有者全員の同意が必要である (民法251条1項)
- 売却など
共有物に対しての負担
- 各共有者はその持分に応じて管理費用などの負担を負う (民法253条1項)
- 一部共有者が負担義務を履行しないときは、他の共有者が相当の償金を支払ってその共有者の持分を取得できる (民法253条2項)
共有物についての債権
- 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使できる (民法254条)
- 例) 修繕費や租税公課が未払な共有者が持分を売却した場合、買主がその債務を承継する
持分の承継
- 共有者は、自由に自分の持分を譲渡できる
- 共有者が死亡した場合、持分は相続人に承継される
- 相続人がいない場合は、他の共有者に帰属することになる (民法255条)
共有物の分割
分割請求
- 各共有者は、共有物の分割を請求できる (民法256条1項本文)
- 現物分割: 共有物自体の分割
- 価格賠償: 共有物の一部のみの所有者として他共有者に価格を賠償
- ただし、不分割特約が結ばれている場合、その期間中は分割請求できない (民法256条1項但書)
分割への参加
- 共有物の権利を有する者および各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる (民法260条1項)
- 参加請求があったにも関わらず請求者を参加させずに分割した場合、その分割は請求者に対抗することはできない (民法260条2項)
- ただし、共有者に分割の通知義務はない
裁判分割
- 協議が調わないまたは協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる (民法258条1項)
- 裁判所は、いずれかの方法で共有物の分割を命ずることができる (民法258条2項)
- 共有物の現物を分割する方法
- 共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法
所在等不明共有者の持分の取得
- 裁判所は、共有者の請求に基づき、所在等不明共有者の持分を、請求者に取得させる旨の裁判をすることができる (民法262条の2第1項前段)
所有者不明土地・建物
- 裁判所は、所有者不明土地・建物について、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理命令や所有者不明建物管理命令をすることができる (民法264条の2第1項 / 民法264条の8第1項)
- 所有者不明土地・建物管理人は、所有者不明土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない (民法264条の5第1項)
Ref
2026/03/01
- TAC 行政書士の教科書 第2編 Ch.2 Section.6