代理

  • 自分の代わりに他人に法律行為をしてもらうことを代理と呼ぶ

代理の種類

  • 法定代理
    • 法律で定められた代理
    • 法定代理人の代理権の範囲は、法律で定められる
    • 例) 未成年者の親
  • 任意代理
    • 本人が自らの意思で代理権を与える代理
    • 任意代理人の代理権の範囲は、代理権授与契約の内容によって定められる

代理における意思表示

  • 代理の場合、意思表示の不備の有無は、本人と相手方との間ではなく、代理人と相手方との間で判断される
    • 例) 本人が強迫されていなくとも、代理人が強迫されていた場合は、取り消し可能となる

制限行為能力者による代理

  • 制限行為能力者が任意代理人としてした行為は、制限行為能力者であることを理由に取り消すことができない (民法102条)
    • 本人が任意代理人として制限行為能力者を選んだ時点で本人の責任であるため
    • 法定代理人の場合は、制限行為能力者であることを理由に取り消しができる

代理権の範囲

  • 代理権の範囲は、法定代理の場合は法律で、任意代理の場合は代理権授与契約で定められる
  • 代理権の範囲が明確に定められていない場合は、代理人は以下の権限を持つものとする (民法103条)
    • 保存行為
    • 代理の目的である物または権利の性質を変えない範囲内においてその利用または改良を目的とする行為

代理権の濫用

  • 代理人が自分の利益を図る目的で代理権を行使した場合、相手方が善意無過失でない場合は、その行為は、代理権を有しないものがした行為とみなされ、本人に効果は帰属しない (民法107条)

自己契約・双方代理

  • 同一の法律行為について、同一人物が双方のあるいは相手方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされ、本人には効果帰属しない (民法108条1項)
    • ただし、債務の履行、および、本人があらかじめ許諾した行為は例外にあたり、こうか帰属する

利益相反行為

  • 代理人と本人との利益が相反する行為は、代理権を有しないものがした行為とみなされ、本人には効果帰属しない (民法108条2項)
    • ただし、本人があらかじめ許諾した行為は例外にあたる
    • 例) 母親(法定代理人)は、債務者となる場合に、子供が所有する土地を担保に設定することはできない

復代理

  • 復代理とは、代理人がさらに別の代理人を選任する行為
    • 副代理人は、本人及び第三者に対して、権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う
  • 任意代理人は、以下の場合のみ、復代理ができる (民法104条)
    • 本人の許諾を得た時
    • やむを得ない事由がある時
  • 法定代理人は、自己の責任で副代理人を選任できる (民法105条)

代理人と使者

  • 使者とは、本人の完成した意思表示を相手方に伝達したり、本人の意思を相手方に表示してその意思表示を完成させたりする者のこと
代理人使者
意思能力代理人の意志能力は必要使者の意思能力は不要
行為能力代理人の行為能力は不要使者の行為能力は不要
意思表示の不備代理人について判断される本人について判断される
別の者の選任法定代理のみ可能、任意代理は原則不可可能
権限逸脱原則本人に効果帰属しない本人の意思と異なる意思を伝達した場合、錯誤で処理される

無権代理

  • 代理権を持たない者による代理行為を無権代理と呼ぶ

本人ができること

  • 無権代理人の行った行為は、本人の追認がなければ、本人に効果帰属しない (民法113条1項)

相手方のできること

  • 無権代理人と契約した相手方は、催告権、取消権、無権代理人の責任追及の権利が認められている

追認の催告

  • 相手方は、本人に対して相当の期間を定めて催告ができ、期間内に確答が得られない時は追認を拒絶したものとみなされる (民法114条)

取消し

  • 善意の相手方は、本人が追認するまでであれば、無権代理行為を取消すことができる (民法115条)

無権代理人の責任追及

  • 以下の要件を満たした場合、相手方は、無権代理人に対して無権代理行為の履行または損害賠償の請求をすることができる (民法117条)
    • 無権代理人が代理権を証明できない
    • 本人が追認していない
    • 無権代理人が制限行為能力者ではない
    • 相手方が善意無過失、または、「Bが悪意かつ相手方が善意」

無権代理と相続

  • 無権代理行為後に本人が死亡し、無権代理人が相続した場合
    • 無権代理人が単独相続した場合、無権代理行為は有効となる
      • 本人が死亡前に追認拒絶をした場合、無権代理人は追認拒絶の効果を主張できる
    • 無権代理人が共同相続した場合、無権代理行為は他の共同相続者全員が追認すれば有効となる
      • 無権代理人以外の誰か一人が追認拒絶を行えば、無権代理行為は無効となる
  • 無権代理行為後に無権代理人が死亡し、本人が相続した場合、追認拒絶ができる
  • 無権代理行為後に無権代理人を相続し、その後に本人も相続した第三者の場合、追認拒絶はできない

表見代理

  • 表見代理とは、無権代理行為であっても表面上は正当な代理権があるように見える場合に本人に効果を帰属させること

表見代理の種類

代理権授与表示による表見代理

  • 本人が代理権を付与した旨を相手方(善意無過失)に表示し、その代理権の範囲内で行なった行為については、実際には代理権を付与していなかったとしても本人は代理人の行為についての責任を負う (民法109条1項)

代理権の逸脱の表見代理

  • 代理人が代理権の範囲外の行為を行ったとき、相手方がその行為が代理権の範囲内であると信ずべき正当な理由がある場合は、本人は代理人の行為についての責任を負う (民法110条)
  • 相手方の誤解の元となる、代理人が本来与えられた代理権を基本権限と呼ぶが、基本権限は私法上の法律行為である必要がある
    • 勧誘行為の許可は、法律行為でないため、基本権限にあたらない
    • 公法上の法律行為単体の代理権は、基本権限に当たらない
      • ただし私法上の契約による義務の履行のために付与された代理権であれば、基本権限の付与と評価される場合もある

代理権消滅後の表見代理

  • 代理権消滅後に代理人が善意無過失の相手方とした行為について、本人はその責任を負う (民法112条1項)

無権代理人の責任との関係

  • 表見代理可能な無権代理行為について、相手方は表見代理の成立、または、無権代理人の責任追及のどちらかを選択することができる
    • 無権代理人は表見代理の成立を理由に、自身の責任を逃れることはできない

Ref

2026/02/22

  • TAC 行政書士の教科書 第2編 Ch.1 Section.5