意思表示
- 意思表示とは、自分の意思を表示すること
- 売買契約は、売り手の売りたいという意思表示と、買い手の買いたいという意思表示をそれぞれすることで成立する
- 正当でない意思表示には2種類ある
- 意志の欠缺: 意思表示と意思が一致していない
- 心裡留保、虚偽表示、錯誤がこれにあたる
- 瑕疵ある意思表示: 意思の形成過程に他人の不当な干渉がある
- 詐欺、強迫のケース
- 意志の欠缺: 意思表示と意思が一致していない
効力発生時期
- 意思表示はその通知が相手型に到達した時からその効力を生じる=到達主義 (民法97条1項)
- 相手方が正当な理由なく通知の到達を妨げた場合、その通知は到達すべきであったときに到達したものとみなされる
- 他にも、発信主義、了知主義などがある
無効と取り消し
| 無効 | 取消し | |
|---|---|---|
| 効力 | はじめから効力が生じない | 取消してなかったことにする |
| 具体例 | 意思無能力者 / 心裡留保 / 虚偽表示 | 制限行為能力者 / 錯誤 / 詐欺 / 強迫 |
| 主張権者 | 誰でも | 制限あり |
| 主張期間 | いつまでも | 制限あり |
追認
- 取消可能な行為は追認によって確定的に有効にできる (民法122条)
- 追認した行為は以降、取り消せない (民法122条)
- 追認は意思表示によって行う
- 例えば以下の場合、暗黙的に追認をしたものとみなされることもある (民法125条)
- 取り消し可能な行為の履行あるいは履行の請求があった場合
- 取消可能な行為によって取得した権利を譲渡した場合
心裡留保・虚偽表示による無効
心裡留保
- 心裡留保とは、表意者が本来の意思とは異なる意思表示を行うこと
- 冗談で「売る」と言った場合など
- 心裡留保による意思表示は、原則有効だが、例外として以下の場合は無効 (民法93条1項)
- 相手方が悪意の場合 (真意ではないことを知っていた)
- 相手方が善意でも過失があった場合 (真意ではないことは知らなかったが、注意すれば気づけたはず)
虚偽表示
- 虚偽表示とは、相手方と示し合わせて嘘の意思表示をすること
- 例) 差し押さえ逃れのために、名義を変えて土地を友人に売ったことにするなど
- 虚偽表示による意思表示は、無効である
- 当事者間ではメリットしかなくとも、第三者に被害が及ぶ場合は、第三者が無効を主張できる
- 例) 差し押さえ人は虚偽表示であることを理由に売買契約を無効主張できる
- 虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗できない (民法94条2項)
- 第三者とは、新たに法律関係になった者を指す
- 例) 土地譲渡について虚偽表示がされていた場合であっても、建物の賃借人は土地の契約とは関係ないため、虚偽表示の第三者に当たらない
- 第三者への転売を経た場合(転得者)、第三者が悪意を持つ限りは無効の効力が及ぶ
- 一度でも善意の第三者が介入すれば、その時点で以降の取引に無効の効力は及ばない
- 第三者とは、新たに法律関係になった者を指す
錯誤・詐欺・強迫による取り消し
- それぞれ条件を満たせば取り消し可能となる
- 追認できる時から(催告されてから)5年、または、行為から20年経過した場合、取消権は消滅する
- 瑕疵ある意思表示をしたもの、代理人、承継人のみが取り消しを行える (民法120条2項)
錯誤
- 錯誤とは、間違えて意思表示をしてしまうこと
- 錯誤による意思表示は、以下の2条件をどちらも満たした場合、取り消すことができる (民法95条1項1号)
- その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念において重要である場合
- 動機となる事情の認識に錯誤があったことを理由に取り消す場合、意思表示の際に、その事情が表示されていなければならない
- 錯誤が表意者の重大な過失ではない、または、以下の場合に当てはまる場合 (民法95条3項)
- 相手方が表意者に錯誤があることを知り、または、重大な過失によって知らなかった時
- 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた時
- その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念において重要である場合
- 錯誤による意思表示の取り消しは、善意無過失の第三者に対抗できない (民法95条4項)
詐欺
- 詐欺による意思表示は取り消しの対象となる (民法96条1項)
- 取り消しは、善意無過失の第三者に対抗できない (民法96条3項)
- 第三者の詐欺によって意思表示をした場合、相手方が善意無過失であれば、取り消しできない (民法96条2項)
強迫
- 強迫による意思表示は、取り消しの対象となる (民法96条1項)
- 取り消しは、善意無過失の第三者に対抗できる
- 第三者の強迫によって意思表示をした場合、相手方が善意無過失であっても、取り消しできる
Ref
2026/02/16
- TAC 行政書士の教科書 第2編 Ch.1 Section.4