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====== The Origin of Wormhole Hypothesis ======
本記事は、[[https://web.archive.org/web/20210519100511/https://note.falsy.cat/study/physics/theory-of-relativity/wormhole/|昔書いた記事]]の復刻版です。
本ページでは、ワームホール仮説が生まれた経緯を説明する。
===== ワームホールとは =====
ワームホールとは離れた2点間を繋ぐことで、ワープやタイムスリップ・別の宇宙へ行くことができると考えられているものである。
現時点では見つかっていないが、ブラックホールのように今後見つかる可能性はゼロとは言えない。
ここではワームホールの存在が予想された経緯について説明する。
===== ブラックホール仮説の登場 =====
ブラックホールは一般相対性理論のアインシュタイン方程式の解の極限からその存在が予想されていたもので、現在では実際に見つかっている。
アインシュタイン方程式は次の様に表され、重力によって時間や空間が歪められるということを意味している。
文字がいっぱい出てくるが、ワームホールの理解に不要な文字については説明しないので、読み飛ばして欲しい。
$$
G_{\mu\nu} + \Lambda g_{\mu\nu} = \frac{8 \pi G}{c^4} T_{\mu\nu}
$$
この方程式は真面目に解こうとすると項があり得ないくらい増えるので、解を求めるときは幾つかの工夫が必要である。
そのような工夫の一つとして考えられたのが、時空の歪みを天体を中心とした球対称と仮定することだ。
確かに天体は殆どが球体であるから時空の歪みも天体を中心とした球対称となると考えるのは自然だといえる。
そうして導かれた解が次に示すシュヴァルツシルトの解である。
これは最も簡単なアインシュタイン方程式の解であり、3次元極座標で次のように示される。
$$
ds^2 = -\left(1 - \frac{r_s}{r}\right)c^2 dt^2
+ \left(1 - \frac{r_s}{r}\right)^{-1} dr^2
+ r^2 \left(d\theta^2 + \sin^2\theta \, d\phi^2\right)
$$
ここで、$r$が以下の場合に着目すると、0除算が発生し、$ds^2$が無限大に発散することがわかる。
このことが、ブラックホール仮説の根拠となった。
$$r \to +0 \Rightarrow ds^2=-\infty$$ $$r \to +r_s \Rightarrow ds^2=+\infty$$ $$r \to -r_s \Rightarrow ds^2=-\infty$$
$r_s$は、シュヴァルツシルト半径と呼ばれており、以下のように定義される。
$c$は光速、$G$は重力定数、$M$は天体の質量である。
$$
r_s = \frac{2 G M}{c^2}
$$
$ds^2$は、時間、空間が変化した際にどの程度距離が変化するかを表している。
$ds^2$が無限大に発散するとは、時空の歪みによって2点間の距離が無限大に発散することを意味しており、これが「ブラックホールからは光すら脱出できない」と言われる所以である。
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