====== Deduce the best asset allocations ====== 次の前提の下で現金、現物、信用建玉それぞれのベストなポジション比率$c,f,m$を導出する。 * 現物、信用建玉それぞれについて、$\alpha$%を超える損失は絶対に生じない (超える前に損切りが必ずできる) * 現物は有価代用証券として、時価の$\beta$%を、信用取引の担保とすることができる * 信用取引の保証金維持率は、$\gamma$%を下回ってはならない * なるべく現物の比率を大きくしたい ===== 結論 ===== ベストな$c,f,m$は、以下のように求められる。 ただし、$c,f,m$は、運用総額に対する比率を意味する。 $$ \begin{aligned} m&=&\frac{\beta}{\alpha\beta + \gamma} \\ c&=&\alpha m \\ f&=&1-\alpha m \\ \end{aligned} $$ ==== 早見表 ==== ^case^$\alpha$^$\beta$^$\gamma$^$m$^$c$^$f$^ |jpstock|0.2|0.8|0.4|1.43|0.29|0.71| |usstock|0.4|0.7|0.6|0.79|0.32|0.68| ==== 例 ==== 例えば100万円の現金を日本株で運用しようと思った時は、早見表より、以下の配分がベストとなる。 (日本株の信用は現金30万円必要だが、一旦その制限は無視する) ^資産^ 掛け金 (円)^ |現金| 290,000| |株式現物| 710,000| |株式信用| 1,430,000| ===== 導出 ===== 上記前提の下、最悪のケース(全ての銘柄で最大のドローダウン($\alpha$%)が発生した場合)において、以下の条件を満たす$m,c,f$を求める。 * (A) 運用金額は1円とする * (B) 全ての信用建玉の損失を決済できるだけの現金を保有していること * (C) 信用保証倍率が$\gamma$であること (最悪のケースでギリギリとなるように前提を設定する) 信用建玉の合計損失額は$\alpha m$で表されることから、(B)を満たす最小の$c$は$\alpha m$である。 また、(C)を満たすためには、以下の等式を満たす必要がある。 $$ \frac{\beta f+c - \alpha m}{m} = \gamma $$ 上記より、以下の連立方程式を解くことで、$m,c,f$を導出できる。 $$ \begin{cases} c+f=1 \\ c=\alpha m \\ \frac{\beta f+c - \alpha m}{m} = \gamma \\ \end{cases} $$ ==== 導出過程 ==== $$ \begin{aligned} \frac{\beta \left(1-c\right)+c}{m}&=&\alpha+\gamma \\ \frac{\beta}{\alpha\beta+\gamma}&=&m \end{aligned} $$